2022.5.11日P退会提案採決結果

『公益社団法人日本PTA全国協議会からの退会について(提案)』の採決結果を受けて

4年5月11日
京都市PTA連絡協議会
会 長 大森 勢津

 公益社団法人日本PTA全国協議会(以下「日P」という。)からの退会について、その是非を京都市PTA連絡協議会(以下「市P連」という。)理事に問うたところ、反対多数で否決となりました。まずはその結果を、市P連理事会の総意として受け止めます。

 私は、市P連会長就任当初から、近畿ブロックPTA協議会(以下「近P」という。)を通じて、あるいは日Pに対し直接、誠心誠意をもって働きかけを行い、市P連理事会等において説明を尽くしてきたつもりでしたが、一保護者ができることは限られ、また何より私の能力不足により、至らぬ点が多々あったことを、お詫び申し上げます。

 幸い、市P連理事会では、理事の校長先生方からも積極的に多数、意見を頂戴することができ、京都市のPTAにおける「PとTの連携」を再確認することができました。次年度以降は「組織」として、この課題に取り組まれることを期待しています。

 「日Pに問うたことは、そのまま市P連にも当てはまるのではないか。」との意見もありました。市P連では、より多くの保護者の皆様に安心して入っていただけるよう、「京都市型PTA」の推進を提案させていただいているところですが、更なる周知の必要性を感じました。

 今、各校のPTAが、強制ではない任意性を尊重した組織へと変化しようとしている中で、従来の上部組織の在り方は、もはや成立しません。

 今般の退会提案は否決されましたが、市P連の在り方、そして日Pとの関係の在り方については、引き続き議論される課題であると認識しています。次年度以降の検討のため、一連の議論において寄せられた質問等を別紙のとおり一定整理することにより、本採決結果への総括とさせていただきます。

 最後になりましたが、質問に対し真摯にご対応いただきました日Pの清水敬介会長に改めて御礼申し上げるとともに、励ましの声を寄せていただいた全国のすべてのPTA関係者に感謝いたします。ありがとうございました。

『公益社団法人日本PTA全国協議会からの退会について(提案)』に係るQ&A

(退会提案の意義)

【Q】結局世間を騒がせただけで、何も変わらなかったのではないか。一連の騒動に何か意味があったのか。

  • 令和3年度市P連理事会にあっては、近P会長会と日P幹部との懇談結果を共有したり、市P連会長経験者からお話を伺うなど議論の後、令和3年度として一定の結論を出すことができました。
  • 現場の困りや課題について、当該年度のメンバーが、当事者意識を持って議論し、年度ごとに一定の結論を出すという姿勢は、コロナ禍を経て変化に著しい現下の状況に対応するためには、大切なことです。
  • 議論を重ねる過程で日Pに対し理解が深まり、また寄せられた意見等は貴重なものでした。今後の市P連の在り方を検討する上でも、大変有意義な機会であり、多くの知見が得られたものと考えます。

(提案否決という結果について)

【Q】今後、日Pとの関係はどうするのか。

  • 採決の結果、退会提案は否決され、よって令和3年度市P連としては、日Pに所属し続けることとしました。
  • 日Pとの関係の在り方について、日Pに所属しながら検討していくことになります。(次年度以降については、「【Q】令和4年度も引き続きこの議論を行うのか。」参照)

【Q】日Pからの退会を検討した結果、市P連や各校種連絡協議会(以下、「連協」という。)から退会することも可能であるとの認識が広まり、かえって逆効果であったのではないか。

  • 「日Pからの退会を検討さえしなければ、市P連や連協から退会されることはない」とは言えません。すなわち、市P連や連協から退会したいという声があったとして、日Pから退会する/しないとは別に、正面から向き合う必要があります。
  • 市P連や連協から退会されることがないよう、市P連や連協が持つリソース(人的・金銭的資源)を市内の単位PTAの支援に集中したい、というのが今般の退会提案の骨子でしたが、否決されました。
  • 今後の市P連には、京都市のPTA会員にはどのようなニーズがあるのか、また単位PTAのために何ができるのかを念頭に置いた活動が、ますます重要になります。

【Q】今般日Pに問うたことが、そのまま市P連にも当てはまるのではないか。すなわち、単Pから見て市P連の存在意義が問われているのではないか。

  • 今般日Pに問うたことをそのまま市P連に当てはめると、「本来あるべき協議会組織とは、PTA会員の意見を広く吸い上げ、まとめ、市教委に伝え、その結果をフィードバックするとともに、市内各単位PTAが抱える課題を共有し、共に考え、共に歩むもの」であり、「現場の声がしっかりと反映される体制」であるか、「一般会員のための活動内容」となっているか、と言えます。
  • 市P連ではこれまでに、全市にてコロナ禍の中での保護者の意識の大規模調査を実施(2万件を超える回答あり)、市P連、各連協でも継続的に京都市教育委員会(以下「市教委」という。)との教育懇談会を実施する等、保護者の声を行政に届けてまいりました。また、教員の働き方改革の推進にも協力をしてまいりました。
  • 京都市小学校PTA連絡協議会(以下「小P連」という。)においてはコーラスやバレーボール等の支部活動の見直しを提言、教育懇談会では、全市PTA会長から京都市の教育に関する質問を集めるとともに、市教委からの回答結果を取りまとめ、PTAメールにて全保護者と共有しました。
  • PTAフェスティバルでは「壁しんぶん」に代わり「写真展」を実施する等、負担軽減を図りつつ、ICTを利活用したオンライン・ハイブリッド会議の開催、研修コンテンツの制作等、学習機会を充実させてまいりました。
  • またメール配信システムの刷新、新しいホームページの立ち上げを行い、コロナ禍においてこそ、FacebookやTwitter等の媒体を用いた積極的な情報発信も行ってまいりました。
  • コロナ禍を経て、PTAも大きな変化の局面を迎えています。これまでの活動実績を踏まえつつ、単位PTAの困りや課題を把握し、議論し、結論を出すという市P連の在り方が、ますます求められていると考えます。

【Q】市P連の動員により単位PTAは困っている。日Pのことは言えないのではないか。

  • 令和3年度現在、市P連が単位PTAに対し動員をかけている事例はありません。過去にパレードや街頭啓発活動を実施していましたが、現在は、市P連事業として動画配信に変更しています。
  • PTAフェスティバルについても、大規模会場方式から写真展示と動画配信を組み合わせたハイブリット方式に変更し、実行委員会も有志による手上げ方式としています。
  • 市P連や各連協主催の会議についても、オンラインとの併用や書面審議を活用するなど、その効率化に努めています。
  • 現在の市P連の姿について、引き続き情報発信をしてまいります。

【Q】支部活動が負担となっている。単位PTAにおける活動に専念したいので、支部から退会したい。

  • 小P連においてはコーラスやバレーボール等の支部活動の見直しを提言、これを受けて、参加者による主体的な運営方法とするなど、各支部において具体的な取組がなされています。
  • このように、全市で統一的な活動については見直しが進められていますが、各支部独自の活動については、それぞれの経緯や事情が異なることから、まずは当該支部において検討することとしています。
  • 連協においても情報を共有し、必要に応じて支援してまいります。

【Q】市P連会長OBから「京都市P連は、他都市と比べても進んでいる」との説明があったが、そうであるならば、市P連が日Pに所属し続けることにより、むしろ他都市に「与える」という姿勢も重要ではないか。

  • 令和3年度現在、日Pに直接関与できるのは市P連会長一人ですが、市P連会長は単位PTA会長や連協会長を兼ね、加入意思の確認を始め、現下の情勢に対応した京都市PTAの舵取りが求められており、日Pに注ぎ得るリソース(時間・労力)は限定されています。
  • その上で、他都市に「与える」という余裕を持ち得るのか、それを市P連会長一人に背負わせていくのか、日Pとの関係の在り方と合わせて、議論していく必要があると考えます。

【Q】一連の議論の中で、「令和2年度には日Pが会費を生徒児童あたり10円から5円に半減した」との情報があったが、市P連も会費を値下げするべきであったのではないか?

  • 令和2年度の市P連では、コロナ禍の真っ只中にあって、何ができるか、何が求められているかを話し合った結果、組織のDX化(ICTを用いた、会員のニーズに応える仕組みづくり)を進めることとしました。
  • 具体的には、新たに、①市P連ホームページの立ち上げ、②PTAメール配信システムの刷新、③行事のオンライン化・ハイブリット化(PTAフェスティバル、人権学習会)、④連協における会議のオンライン化を進めることとし、これらに必要なICT機器の整備等に支出するため、市P連の会費を据え置きとしたものです。

(議論の進め方)

【Q】議論の進め方が稚拙であり、もっと丁寧なやり方があったのではないか。

  • 日Pとの関係の在り方について検討するに当たり、市P連会長としてでき得ること、すなわち、日Pへの働きかけ(日Pの会議で発言、事前にアンケートを実施の上、近P会長会と日P幹部との懇談会を実施、議事録を作成、日Pで共有されるよう依頼等)や市P連理事会等での説明を、誠心誠意行なってまいりました。
  • 現場の困りや課題について、当該年度のメンバーが、当事者意識を持って議論し、年度ごとに一定の結論を出すという姿勢は、コロナ禍を経て変化に著しい現下の状況に対応するためには、大切なことです。
  • どのような議論の進め方が適切とされるのか、すなわち、どのような方法でどれだけ議論すれば皆が納得するのか、抽象論ではなく具体的な方法論を基に、年度ごとに話し合って決めることと考えます。
  • その上で、先延ばしにせず、物事を決定することが、物事を決め得る立場にある者の責任だと考えます。

【Q】市P連の理事会だけで決めるのではなく、もっと広く単位PTAやPTA会員の意見を反映させるべきだったのではないか。

  • 話し合いの過程では、アンケートを実施するなどして、単位PTAやPTA会員の意見も聞くべきとの意見も出されたところですが、市P連理事会における話し合いの結果、各連協の代表者である市P連理事が投票により決めることとしました。

【Q】単位PTAの会長だが、連協の理事から日Pの議論に関する情報共有がなかった。単位PTAにも情報共有すべきではないか。

  • 連協の理事が連協で得た情報をどこまで、またどのような方法で支部や単位PTAに伝えるかは、当該理事の判断に委ねています。
  • なお、市P連では、ホームページやFacebook等を通じて、情報発信に努めています。

【Q】日Pは小・中の全国組織であるのに、なぜそれ以外の校種(幼・高・総)も含めた場(市P連)で議論したのか。小P連及び京都市立中学校PTA連絡協議会(以下「中P連」という。)が判断すればよかったのではないか。

  • 京都市のPTAでは、5連協が一つとなって市P連を組織し、京都市総体としてのPTA活動に取り組んでいます。
  • 日Pには小P連及び中P連ではなく市P連が参加している以上、日Pとの関係の在り方については市P連理事会において議論することが適切と考え、5連協が当事者として検討を行ったものです。

【Q】日P退会の是非という重要な事項を当該年度のメンバーのみで決め、次年度に引き継ぐというやり方は、次年度のメンバーからみて無責任な姿勢ではないか。

  • 現場に困りや課題がある場合、安易に前例踏襲をするのではなく、当該年度のメンバーが、当事者意識を持って議論し、年度ごとに一定の結論を出すことが、当該年度の次年度に対する責任と考えます。
  • 仮に次年度のメンバーからみて、前年度の結論が間違っていると判断されるのであれば、改めて検討し、修正すればよいことですし、結論が出ないようであれば、継続して議論していくこともあり得ます。

【Q】4月13日付の日P会長からの回答にて、市P連に対し「大森会長には直接及び間接的(近畿ブロックを通じて等)に意見交換の提案をさせていただいていました。京都市P連の理事の皆様にも積極的に意見交換をさせて頂き、日本PTAの活動についての理解を深めていただく場を提案させて頂いていました」とコメントされていることに関しての見解はいかがか。

  • 日P会長から市P連会長に対し、意見交換の提案がなされた事実はありません。
  • その上で、私は、近P会長会と日P幹部との懇談会(令和3年9月7日実施)がまさしく「日本PTAの活動についての理解を深めていただく場」と認識し、最大限有意義なものにしたいと思い、近P会長会の協力を得て、事前にアンケートを実施し、当日の懇談テーマを明確化し、さらに議事録を作成しました。近P内に限った課題ではなく、日P全体で議論すべき内容ですので、全協議会で共有していただきたいとお願いしましたが、資料の共有すらされませんでした。
  • これまで、新聞社等の取材対応をする過程で、また届けられる声からも、日Pに対する誤解も多く、正しく理解がされていないように感じ、日Pの一員としても大変残念に感じました。
  • 「公益」を謳う全国組織として、我々市P連だけではなく、全ての地方協議会、引いては一般会員に対し、公の場で「積極的に意見交換をさせて頂き、日本PTAの活動についての理解を深めていただく」具体的な取組が求められていると考えます。

(情報公開・発信について)

【Q】市P連の会計が公開されていないので、日Pへの負担について知り得なかった。
   公開すべきではないか。

  • 議論の前提として情報公開は大切と認識しています。どのような形式で公開することが適切か、市P連理事会において検討してまいります。

【Q】議論の途中の内容を報道機関に漏らすことは不適切ではないか。

  • 全ての取材依頼は市教委や市P連事務局を通じて受けており、また、事前に市P連事務局等の同席の有無を確認の上、取材に応じています。
  • その上で、「京都市PTA連絡協 全国組織の退会検討」(令和4年3月19日付け京都新聞1面)との報道に至った経緯は、以下のとおりです。
  • 3月2日(金) 市P連理事会において、これまでの議論を踏まえ、市P連会長が自らまとめた「日Pからの退会提案」(市P連会長名)を文書として提出・議論。意見を受けて一部修正。
  • 11日(金) 市P連ホームページに「日Pからの退会提案」を掲載し、報告。
  • 18日(金) 市P連ホームページを閲覧した京都新聞社より取材。
  • 19日(土) 新聞報道
  • なお、市P連理事会(3月2日開催)での「日Pからの退会提案」は、年度当初からの課題意識の共有を経た上で、市P連会長名で提案させていただいたものであり、「議論の途中の内容」ではありません。

【Q】TwitterやFacebookといったSNSを用いて「個人の思い」を発信することは、組織として危ういのではないか。

  • 市P連では、「Facebookページ運用ポリシー」や同「具体的な運用管理について」(いずれも市P連理事会決定)など、ルールに基づきSNSを運用しており、市P連が取り組む重要な事項や市P連の日々の動き等を発信しています。
  • このようなSNSを用いた情報発信は、情報化の進展に伴い半ば常識となっており、行政においても政策を伝える手段として積極的に活用されています。
  • ご指摘の「個人の思い」とはどの記事を指すのか定かではありませんが、市P連の活動への理解を深めていただくため、引き続き、適宜適切な情報発信に努めてまいります。

(次年度以降について)

【Q】令和4年度も引き続きこの議論を行うのか。

  • 現場に困りや課題がある場合、安易に前例踏襲をするのではなく、当該年度のメンバーが、当事者意識を持って議論し、年度ごとに一定の結論を出すことが、当該年度の次年度に対する責任と考えます。
  • 日Pとの関係の在り方について、令和3年度は現場に困りや課題があるとし、問題意識をもって議論してまいりましたが、令和4年度の取扱いについては、令和4年度のメンバーが決定するものです。

以上